留学体験談

沢山の出会いは様々な価値観を知ることができます。

星野 紗月 様 Satsuki HOSHINO

東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。大学在学中の2015年パリ国立高等音楽院ピアノ即興演奏科に合格し、2018年第1課程修了。同年秋より同科第2課程へ進みジャン=フランソワ・ジジェル(Jean-François ZYGEL)先生クラスに在籍。

沢山の出会いは様々な価値観を知ることができます。

フランス生活4年目を迎えて

留学して4年目となりました。授業やレッスンを受けつつ、月に10回程のコンサートをこなすという生活スタイルですが、漸く余裕を持って学業と仕事を両立出来るようになってきました。オフの日は、美術館に好きな絵を観に行ったり、セーヌ川沿いをジョギングしたりしています。また、遅い時間まで交通機関が充実しているので、石造りの建物が照らされた、美しい夜のパリに繰り出すことも多いです。

不安定な社会情勢も、自分を考えるきっかけに…

ここ最近は移民問題に続いて毎週のようにデモの騒動があり、不安定な社会情勢を肌で感じます。留学したての頃に経験した、危うく巻き込まれそうになったテロの恐怖は忘れる事ができませんが、自分に出来ることは何だろうと真剣に考えるきっかけになり、人生観が変わったと言っても過言ではありません。幸せで充実した留学生活を当たり前のように思っていましたが、この体験を経て音楽に対する想いも一層強くなりました。
多様な国籍・宗教の人々が集まるパリで生活をしていると、日本ではあまり意識をする事のなかった人種間の軋轢を感じることがあります。ただ、そのようなごちゃ混ぜのマルチカラーのパリには、何を描いてもいい大きな白いキャンバスも存在します。芸術に於いても、こういう環境だからこそ、ジャンルを越えた新しい表現や実験的なパフォーマンスに寛容なのかもしれません。

様々な科目を並行して勉強することにより、全ての知識が相互的に理解を深めている

フランスならではという専攻の一つで、今私が在籍しているパリ国立高等音楽院のピアノ即興演奏科は、分野を越えた音楽の実験室のようなところです。クリエイティブでいる事が常に求められる、刺激的で飽きることのない毎日ですが、音楽の内容が自由である反面、豊かな表現をするためには多彩な知識を持つことが欠かせません。ソロや室内楽等の実技系の勉強だけではなく、エクリチュールやアナリーゼといった音楽理論を身に付けることの大切さを痛感しています。様々な科目を並行して勉強することにより、全ての知識が相互的に理解を深めていると実感できたのは、こちらで学び始めてからでした。

何かに挑戦しようとしている時は、思い切って行動を起こすと、今まで見えなかった世界が広がる

この国ではインスピレーションの源になるものと至るところで出会えます。日常の何気ないシーンが芸術的で、アートが自然と生活に溶け込んでいる感じ。フランス生活での不便な点は枚挙に暇がありませんが、それを上回る魅力に満ち溢れているので、短所に目を瞑ることが出来てしまうほどです。日本と全く違う環境に身を置くことは、必ずしも容易なことではないかもしれません。私の場合、知り合いもなく飛び込んでスタートした留学生活でしたが、心身共に鍛えられ、一人の人間として成長させてもらえる掛け替えのない場所となりました。沢山の出会いを通じて様々な価値観を知ることもでき、音楽だけでなく想像以上の得るものがあります。何かに挑戦しようとしている時は、思い切って行動を起こすと、今まで見えなかった世界が広がると信じています。とは言え肩肘張る必要もなく、これからもシンプルに毎日を大切に送ることを心掛けたいです。