留学体験談

音楽を交えた「沢山の出会いと経験」

田倉 碧子 様 Midoriko TAKURA

2016年国立音楽大学卒業後渡仏、スコラ・カントルム音楽院Cycle Supérieur課程に2年間在籍。ヴァイオリンをパトリス・フォンタナローザ(Patrice FONTANAROSA)先生、室内楽をジャン=ピエール・ヴァレーズ(Jean-Pierre WALLEZ)先生に師事。室内楽にてDiplôme supérieur を取得。 2018年9月帰国。

留学生活を振り返って

 2年間のパリ留学を終え、昨年の秋に帰国しました。留学当初は新しい事ばかりで慣れるのに精一杯でした。今になってパリでの生活を振り返ると本当にあっという間で、まるで夢でも見ていたのではないか、という気持ちになります。それほど充実した日々を過ごしたのだと思います。

“学ぶ”事がこんなに楽しいことなんだ!

 フランスに留学して良かったことは、音楽を交えた沢山の出会いと経験によって、自分を見つめ直せたことです。また“学ぶ”という事がこんなに楽しいことなんだ、と気づかせてもらったことです。パリでお世話になった先生方は大らかな方が多く、生徒の考えや意見を大切にして下さいます。私の師事した先生も、その上で自身の哲学によるアドバイスをして下さるので非常に興味深かったです。レッスンを受けていると、先生の仰ることには忠実に、と思いがちです。また気になることを質問すると、そういう時はこのように仰るのです。『自分が心地よく演奏出来ることが大切で、自然な状態であることが大事。人によって違うのだから、正解はなく、自分の心が感じたことが正しいのだよ。』。演奏にも生き方にも迷いがあった私にはとても心に響くお言葉でした。2年の月日の間に出会った方々や先生方からは、決して形に残ることのない、沢山の“問いかけ”を頂きました。

支えてくれた家族、友人達に感謝

 また、スコラ・カントルムで出会った仲間達は年齢に関係なくとてもフレンドリーでした。フランス人や日本人学生もですが、フランス以外の外国人学生も多く、刺激的でした。授業や室内楽レッスンで顔を合わせたり挨拶を交わす内に友人も増え、演奏の機会には声を掛けてくれたりもして、そういうやり取りがとても楽しかったです。日本に帰っても良好な関係を続けられている友人もいます。学校以外にも出会った人々に恵まれ、その様なチャンスを与え、支えてくれた家族、友人達に感謝しています。

色々な事に興味を持ち行動出来るように

 生活面では、新しい土地で暮らすという事は決して容易ではなく、音楽は勿論、習慣も言語も学ぶことが本当に多く、小学生の頃に戻った様でした。しかし、出来なかったことが出来るようになるのは楽しく、それを通して特に感じたことがあります。それは、若い学生も多い中、出会った年上の方々が学ぶことにとても意欲的だったことです。年齢を気にせず、心の赴くままに素直に物事に触れているのを目の当たりにし、私自身も前よりもっと色々な事に興味を持って行動出来るようになりました。それは音楽を奏でる上でもとても役立ちます。知らなかったことや今まで見過ごしていたことを知ること、学ぶことの面白さを改めて発見できたことは、とても大きかったです。

興味を持ったことは躊躇わずにチャレンジ!

 帰国してからまだ半年も経っていませんが、これからもフランスで見て感じたことを忘れずに、自分なりに役立たせて行きたいと考えています。自分に出来る事は何かという問題は常にありますが、教える仕事も視野に入れ、演奏活動も積極的にして行くつもりです。
今春は小学校時代からのピアノの友人とデュオ・リサイタルを行います。今後も興味を持ったことは躊躇わずに、チャレンジし続けて行きたいと思います。