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第7期奨学生の留学体験レポート

 

池野様のアンジェレポート1

 

フランスに来て早3か月が経過しました。木々もすっかり紅葉して、毎日落ち葉を踏んで歩いています。たった3ヶ月ですが、日本にいたのが何年も前に感じられます。
それくらいに、日本とフランスでの生活は大きく違います。

 

7月末に現地に到着し、8月の1ヶ月は、前回の留学(4年前)からのフランス語のブランクを埋めるべくアンジェ・カトリック大学付属の語学学校(CIDEF)に通いました。CIDEFは私立大学付属だけあり、公立の学校よりも親切、且つ学生に対して様々なサービスを提供してくれ、また私立の語学学校よりも講師陣の質が良いように感じました。

 

今回の私の留学先はそのCIDEFではなく、同じくアンジェにある国立大学、アンジェ大学付属の高等ホテル観光学院(IMIS-ESTHUA)です。現在はそのIMIS-ESTHUA(以降IMIS)にある、Metiers des arts culinaires et des arts de la table(以降ACAT)というコースで学んでいます。
これを、日本語に直訳すると“料理法とテーブル技術”といった意味になるのですが、実際の授業内容はこれとは少し違います。


まず、このコースはlicence professionnelle(以降LP) という、日本にはない「職業学士」という課程になります。Bac+3に値し、Master 1と同等となる、1年間の課程です。


1年間のうち、基本的には1er semestre(9月~2月)は学校での聴講、2eme semestre(3月~8月)は研修というプログラムです。
そもそもこのコースは、BTS Hotellerie-Restauration, option A et Bを取得済みの学生が対象となっていますので、ほとんどの学生がホテル・レストランに関しての既習者、もしくは働いた経験がある者です。 

現在受けている授業内容に関して少しお話しようとおもいます。


授業内容は主にマネージメント・経営に関してです。
マーケティング・人事・財務・会計・食品流通・コンピュータープログラム・外国語等ですが、いずれもレストランに関連する内容になっています。その他、料理・食器に関する歴史の授業です。この歴史の先生が、LP ACATの主任教授となっており、コースの内容等はこの先生によって決まり、変更もあるようです。


コースはさらに3つのオプションに分かれ、私は現在ブラジル料理をオプションとして専攻しています。フランス料理を希望しましたが、「BTSをもっていない」「日本での大学での専攻が料理に関係ない」「同分野で経験がない」ということを指摘され、また、フランス料理のコースには“調理実習”の授業がほぼないため、その後の研修先を見つけることも困難だろうとのことでした。
そこで、その他のオプションを選択するように言われましたが、私は料理に関わることを学びたいと思い、結局Option Bの中では実習授業があるブラジル料理を選択しました。


当初希望していたこととはまったく違う結果になってしまいましたが、日本でできないことをしてみることに意義があるのでは?と思いなおし、今はポルトガル語の授業も受講し始めたところです。


これらの授業と研修に加えて、1年間を通してグループ研究を行うことになっています。今年のテーマは「tourisme gastronomique」。旅行における料理の役割の研究とでもいいましょうか。
これを担当しているのは主任の先生の元、具体的な研究テーマを決め、グループ毎に1年間研究をすすめ、9月にレポートを提出というする日本でいう卒業論文のようなものを書くことになっています。

 

LP ACATには約40名の学生がおり、外国人はそのうち6名で、国籍はコート・ジ・ヴォワール、コンゴ、コロンビア、ブラジル、そして日本。日本人は私の他にもう一人いますが、中国人はいず、アジア人は私たちだけです。学生の年齢は20歳前後が大多数ですが、中には40代の学生もいます。


我々日本人以外は全員BTSを持っており、更なるディプロム取得を目指してLPに来ているといった感じです。 
日本人はほとんどいない学校ですが(恐らくIMIS全体で4名程度)、外国人の受け入れを盛んに行うよう努めている学校ですし、外国に興味がある学生も多いので、居心地の悪さは感じませんが、フランス人の学生と同等に扱われます。研修先、stage先も自分で見つけることになっています。


キャンパスは近代的な建物で、地上階には食堂もあり、町にも近いので、不便や不快なく過ごすことができます。

学校の授業は、ある時は午前だけだったり、午後だけだったりもすれば、突如丸一日授業なんてことも…、なかなか大変ですが、もちろん楽しいこともあります。


例えば、主任の先生の提案で、教室でいろんな地方の料理・ワインのデギュスタシオンをしたり、ミシュランの星付きレストランへの見学が企画されたり、先日はワイン農家を訪ねてきました。

 

 

 

 

 

最後にアンジェの様子についても少し。
アンジェは小さい町ですが、とてもフランスらしい町です。町中に小さなパン屋さんがたくさんあって、パティスリーも数件。
レストランもたくさんありますが、どれも小さくてかわいらしいお店ばかりです。ちょっとこだわりのある雑貨屋さんとか、お花屋さん、家具屋さん・・・etc


週に数回マルシェが立つのですが、私は土曜日の朝にマルシェへ行くのを日課(というか週課?)にしています。広場いっぱいにいろんな市がたって、地元民でおおにぎわい。
季節が変わると、お野菜や果物も変わって、最近はりんごがたくさん出てきました。
みんな空っぽのかごとか袋をもってマルシェへ行って、帰りにはその中は食べ物でいっぱい。
お店の人に「これはどんな味?」とか聞くと、「おいしいわよぉ~っ!」と試食させてくれたり…
なんだかフランス人の生活を垣間見れるひと時です。


町にはアジア食品店もいくつかあるので、日本の食料品も手に入ります。
パリからもTGVで1時間半なので、お休みのときにはパリへ足のばしたりもしています。

私が今住んでいるステュディオは駅からも、町の中心からも近い好立地。
安いスーパーが近くにないのが玉に瑕なのですが、大家さんが日本人とだけあって、清潔・快適に過ごしています。
最近は、寒くなってきたので、部屋の快適さも手伝って、週末はパンやお菓子を作っては友達を招いたりして、自宅で過ごしています。

12月にはレポートの提出やテストが予定されていて、更には3月以降の研修先を見つけなければいけないという…ちょっと気合いを入れてがんばらないといけません。

 

池野侑里