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第9期奨学生の留学体験レポート

 

角谷様アンジェ短期留学レポート


角谷香奈

 

日仏文化協会の奨学生として、一ヶ月間アンジェカトリック大学の夏期講座で学ばせていただきました。二度目のフランスなのですが、今回初めての大学での講義ということもあり不安と緊張のなか日本を出国しました。

 

アンジェ
アンジェ


8月3日に空港に到着し、日仏文化協会のスタッフの方にパリの名所をドライブしてもらいながらモンパルナス駅まで送っていただきました。TGVに2時間ほど揺られ、アンジェに到着し街を案内していただきました。寮は学校からも街の中心からも近く、シャワーつきの清潔で壁紙の可愛いお部屋でした。すぐ近くのアンジェ城の景色に魅了され、美味しいガレット屋さんにも連れてもらい、ただただフランスに来られた嬉しさでいっぱいでした。
次の日から何が起こるのかも知らず・・・。


4日がクラス分けテストでした。大きなホールで聞き取りと書き取りの問題を解きます。聞き取りの問題は、スピードが速く子供の声もあり、本当に気持ちがくにゃっとなりました。
しかし、まだ序の口だったのです・・・。


次の日には、クラスが張り出され、始業式の後に授業が始まりました。クラスは5まであり、一クラスに20人程の生徒がいます。先生が一人と、モニターと呼ばれる副担任の先生が二人つきます。授業は文法とリスニング、会話に分かれています。リスニングと会話は、クラスをAとBに分けます。曜日によって時間は様々ですが朝9時から夕方まで1日授業があります。日本から来た大学生の子とも、「日本より大変だねえっ」と笑っていました。


恐る恐るみたクラスはNIVEAU4。そして、授業を受けてびっくりしました。私を含めクラスは日本人が2人だけ。後は、イタリアだったりドイツだったり、カザフスタンの人もいました。皆自分の意見を持ち、しゃべるしゃべる。学校に来なくてもいいじゃないと思う程に話します。会話の授業で読み間違えようものならすぐさま他の生徒から「それは何?!」と指摘が飛びだすスリル満点の授業でした。結局先生にもご相談し、クラスを下げてもらうことにしました。

 

新しい3のクラスには、アメリカやフィンランドの人がいて年齢も様々で一番年下の男の子はなんと13歳でした。でも、皆和気あいあいとしていました。大学の授業ということで、大教室で、先生の話を一方的に聞くものだとばかり思っていたのですが、少人数で先生を囲んでの授業は、語学学校と同じ雰囲気で分からなかったらすぐに聞くことができました。授業にも、映画を見たりするなど飽きずにあっという間に時間が過ぎていきました。

 

一息つけたのもつかの間。課題が出されました。「街中アンケート」です。フランスに関係するもの、アンジェのことなど一つのテーマでフランス人10人程度にたずね、結果をレポートにして発表するというものです。
私は、「フランスの日常的な食生活」にテーマをしぼり、地方の特色や、デザートや、マルシェに行く習慣の有無や、本当にフランス人はみんなグルメなのかを調べることにしました。


実際に、学食のご飯には、毎日何種類ものサラダや、チーズが出ました。食後の美味しいデザートはもはや「obligatoire」(義務)な気持ちになっていました。

アンジェ
アンジェ
アンジェ

 

先生は、テーマや質問でも詳しく添削してくださいました。最初、「見知らぬフランス人に突然聞くなんて」という不安がありました。しかし、帰って休むだけだった寮の寮母さんとはアンケートをきっかけに仲良くなり、水やりを手伝ったりしました。
コインランドリーで、地方の料理について熱く話してくださったおじいさんとは今もメールを交換してもらっています。


さらに洗濯の待ち時間ということもあり、失業中という若い男性、バカンスでアンジェに来たというおばさまも話に入り、皆で食事についてわいわいがやがや。日本では有り得ない状況に、じんわり「フランスっていいなあ」と思ってしまいました。
その他にも、道で滑車が外れた車が道路に止まると、見ていた通行人がすぐに手伝いを始めたり、フランス人には困っている人に優しい所があるのだろうなと思います。


そして、街を歩くことで、アンジェの様々な良さが見えました。道路には、歩行者と自転車の通路がそれぞれ設置されており、おしゃれな貸し自転車もあります。美術館は、学生が無料で利用できるので私は何度も通ってしまいました。川沿いでは皆が気持ちよさそうに木陰で涼み、自転車で行き交うのを見ながら日本はまだまだこういった取り組みが少ないのかなあと思いました。

 

アンケート後、立て続けに会話の授業で発表の課題が出され、私は「日本の就・婚活事情」を話しました。アメリカでも、年齢は気にする事が多いようでお見合い結婚は説明するのが難しかったのですが、添削してもらいました。

 

一ヶ月の最後のイベントであるソワレアンテルナショナルは、「国の紹介」を各国の生徒がチームになって発表しました。それぞれの歌や、踊り。そして、モニターの先生が一ヶ月をまとめた映画など盛りだくさんでした。
一ヶ月の間、毎日授業や食事で顔を合わせていたとはいえ、世界には様々な人がいて様々な暮らしがあることを実感しました。一ヶ月前、私はなんて小さいことでくよくよしていたんだと反省しました。

 

最後の夜、ホールで歌った「春」と「隣のトトロ」を今でも口ずさんでしまいます。
日本人の留学生は、やはり一番多かったです。でも皆それぞれのクラスで、いろんな人と出会い、国籍は関係なくて人柄なんだと思いました。寮ではいろんな学校から生徒が集まり、一緒に宿題をしたりし、体調の悪いときには互いに支えてもらいました。


全てが順風満帆だったわけではありません。
ここだけの話ですが、帰る日、TGVが到着寸前まで「supprimer」(運転取止め)の表示が出ており冷や冷やする一幕もありました。(この単語はもう忘れられません・・・。)しかし、このアクシデントで、同じ学校だったアメリカ人の子と乗り合わせて、空港で出発直前まで話をしたことも忘れられません。


今回、同じフランスでも様々な国籍の人と友達になり、学んだことがとても刺激になりました。大切なことは人がどう生きるかで、国や性別なんて全く関係ないのです。今まで、関心を持つことがなかったカザフスタンや、南米のことももっと知りたいと思うようになりました。


そして、明確な目的を持って学んでいる姿に大いに刺激をうけました。
だけどアメリカ人の大学生も、授業中に携帯電話が鳴ってあたふたするとか・・・。いろんな話を思い返すと寂しくなります。
これから就職活動を始めるにあたり、私は自分の気持ちや社会に対しての思いをしっかりと確立していこうと思います。

最後に、出発前から滞在中まで様々な面で支えてくださりました日仏文化協会のスタッフの皆様、本当に有難うございました。