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第2期奨学生の留学体験レポート

 

丹様のリヨン・レポート6

研修校:リヨン・カトリック大学 

期間:2006年春・夏期・秋学期/滞在スタイル:ステュディオ

 

アート市と古本市

 

 

リヨンは今、秋真っ盛り。プラタナスやマロニエの葉も色褪せ、まさにシャンソンの「枯葉」の世界です。私は最近、日曜日の朝になると、ソーヌ川沿いで開かれているアート市と古本市に出かけます。アート市では、たくさんの絵画や彫刻、不思議なオブジェやかわいいアクセサリーなどがところ狭しと並べられ、その個性的な作品についつい笑みがこぼれてしまいます。もちろんそのどれもが手作りで、それぞれの作品の持つ表情を見ていると作者の人柄までもが伝わってきて、楽しさも2倍です。もう一方のソーヌ川沿いでは同じように古本市が開かれています。秋の日差しの中でのんびりとフランス文学に浸ってみたいものですが、私の場合は残念ながらそうもいかないので、ちょっと視点を変えて本の装丁を楽しむことにしています。特に古い聖書などは皮の立派な装丁が施され、その美しさに目を奪われます。かつてリヨンは印刷業で栄えた都市でもあり、この古本市ではその歴史の重みを感じさせる貴重な本に出会うことが出来ます。

 

 

ワインの試飲会

 

 

私はワインの知識は全くありませんが、とにかくワインは大好きです。こちらでは3ユーロも出せば美味しいワインが手に入ります。先日友人の誘いで、テット・ドール公園の近くにある‘L'Espace Tete d’Or’という会場で行われたワインの試飲会に参加しました。

 

会場の入り口で受付を済ませるとワイングラスを渡されて会場の中へと進みます。するとそこには、フランス各地から集まった73のワイン生産者がブースを出し、ご自慢のボトルをテーブルに並べて熱心にその特徴を説明していました。私たちも早速試飲を開始!先ずはBordeaux、次はChampagne、そしてAlsace、でSaint Joseph、まだまだCotes du Rhone Villages・・・。グラスにほんのちょっとといいながらも、すべてのワインを試飲するのは至難の業。しかも年代別に味わうとなると最後は目がクルクルと回ってしまいそうでした。貧乏性の私はグラスのワインを毎回飲み干していましたが、周囲の人達を見ていると、じっくり香りを楽しみ、その後に少し口に含んで味わった後、残りのワインは専用の容器にサッと捨てています。ワインの味わい方も知らない私は、本場の人達の身のこなしにうっとりと見とれてしまい、ワイングラスを片手にクルクルとまわす手振りをまねて、何度も何度もクルクルまわしていたら、「そんなにグラスをまわしたらダメだよ!アロマが逃げてしまうよ。せいぜい2、3回だよ。」(たぶんそう言っていた)と隣のムッシュに笑われてしまいました。

 

しかしなんともワインというのは奥が深いのでしょう。本当にそれぞれ香りと味が異なります。産地や年代の違い、葡萄の種類や醸造の違い、中には、年代物の木から収穫された葡萄のワインだとか、今日から3年後に飲むと美味しいワインだとか、フランス語で熱心に説明してくれるのですがさっぱり分からず、あ~もっと言葉ができたらいいのになぁと思う瞬間です。あるブースでワインを注いでもらったムッシュの手がタンニンで黒ずんでいて、その仕事ぶりを想わせる彼の手に、あるシャンソンを思い出しました。♪豊かな自然の潤いをあたえて、山は長い月日、葡萄の根のようにふしくれた素朴な人を育ててきた。今はもう葡萄の蔓も森の中にのびっぱなしのまま、昔から葡萄作りで生きてきた老人をなげかせるのだろう♪「LA MONTAGNE」~Jean Ferrat(古賀力 詩)~ そしてフランス人のあの高くて大きな鼻はきっと、ワインの香りを頭のてっぺんまで吸い上げるために必要不可欠なものなのだろうと感じました。次回のワイン試飲会には、是非おつまみ持参でがんばろうと思っています。