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第21期奨学生の留学体験レポート

 

木田優美子 様

 

木田優美子 様私がフランス語に興味を持ちはじめたのは大学生になってからのことです。英語以外の外国語を学びたいと思い、大学での専攻科目の中で何となく、といったら言い方が悪いですが最もイメージの良かったフランス語を選択することにしました。学び始めたときは英語と混同して戸惑うこともたくさんありました。したしその戸惑いも学習が進むにつれてなくなり、イメージだけで選んだフランス語でしたが毎日意欲的に学ぶようになりました。大学のいろんな先生方にフランス語だけでなく、フランスの文化や遺産、歴史や文学について教えていただきました。そうするうちにフランス全体に対して興味を持つようになりました。


ある日、大学の先生にフランスの学会で知り合った学者が日本に来るから、どこかに案内してくれないかと頼まれました。日常生活においてそんな機会はめったにないと思ったので友人と二人で喜んで引き受けました。当日になり、待ち合わせ場所に着くと大学の先生は見当たらずその学者の方は夫婦でいらしていました。私たちは先生も来てくれるものだと思っていましたし、また夫婦で来るということも知りませんでした。ケベックの方でフランス語と英語しか話されない方だと聞いていたので私たちはとても驚いて慌てましたが、なんとか案内しなければと思い出発しました。はじめはお互いに初対面で言葉も伝わらないで、言いたいこともうまく伝わらずもどかしい思いをしました。しかしその夫婦は私たちのつたないフランス語を一生懸命聞こうとしてくれましたし、私たちが理解できるように分かりやすく話してくれました。最後には本当に打ち解け合い、お互いの伝えたいことを何とか相手に伝えることができました。


このことがあってから、なぜ大学で何時間もフランス語を学んでいるのにこんなにもフランス語でコミュニケーションをとることができないのかと考えていました。それは圧倒的に発話・聞き取り能力が足りていないからだと気づきました。大学での授業ではそういった練習をするにも限りがあります。自宅に帰ってCDを聞いてもインプットはできますがその発音を試したときにそれが正しいかどうかの判断ができません。どうすればそれをカバーすることができるかと考えていました。


そんなとき、同級生の友人のうちの何人かがフランスへ留学に行くことになりました。留学は高校生の頃から憧れてはいましたがなかなか実現するほどの気持ちにはなりませんでした。しかし、友人に留学中の話を聞いて気持ちが変わりました。友人たちは生のフランス語を肌で感じ、自ら発信することで日本ではできない貴重な体験をしたと言っていました。また海外に行ったからこそ分かる日本の良さ、悪さがあるとも言っていました。そういった話を聞いて私もフランスに行ってそのような体験をしたいと思うようになり、今回の長期留学を決めました。


将来は教員になろうと考えています。現在大学でフランス語・英語教員の免許を取得中です。教員になったらフランス語を教えることになるか英語を教えることになるか今は分かりません。どちらにせよ今回の留学での経験が教員になったときの大きな力になることでしょう。現在はグローバル化が進んでいると言われていますが外国語教育といえばやはり英語、という時代です。留学で培った発音やアクセント、またフランスの文化や歴史を子どもたちに伝えていきたいです。そうすることで子どもたちにフランスのことを知ってもらい、英語圏以外の国の知識も得ることでより国際理解を深め、異文化に対する興味を持たせることができると考えています。


大学のゼミではフランス文学、特に今はペローの童話集を読んでいます。有名な話でいえば赤ずきんやロバの皮、眠れる森の美女などが盛り込まれています。童話、と聞くと易しいイメージを持たれるでしょうが、短い文章や単語の中に深いメッセージが込められています。他の作家の文学作品についても学んでいますが、常に考えていることはなぜこの作者はこんなことを書いたのか、なぜこう思ったのかなどということです。留学に行った際にはそういった作家たちの生まれた場所や育った場所を訪れてみたいです。そうすることで少しはその人たちの気持ちに近づけるのではないかと、とても楽しみにしています。


私のレポートが留学を悩んでいる方の少しでも背中を押すことができれば幸いです。