フランス留学体験談

フランス留学

フランス留学体験談>第18期奨学生

第18期奨学生の留学体験レポート

 

自己紹介 足立満輝 様

 

足立満輝フランスと聞くと私の頭の中にはバゲットを片手にパリの風情ある町をアコーディオンのメロディーをバックに歩く美しい人々の姿が想像されます。小さい頃から漠然とフランスという国に憧れがあり、いつかあんな綺麗な町に行ってみたいなぁと思っていました。そして、初めてフランスの地に足を踏み入れたのは高校一年生の夏休み。母の案内でパリの町を4日ほど散策しました。
しかし英語も満足に話せなかった私にとってパリの人々が話す言葉は全く異国の言葉でした。日本に帰る飛行機の中で旅のことを振り返ってみると、目では楽しめたけど耳から何か得たことはあっただろうか?この時初めて外国語を学ぶ意義というもの実感しました。今度フランスに行くときはフランス人と会話したいと強く思いました。


それからというもの私は言語の魅力に惹かれ、大学では東アフリカの国々(タンザニア、ケニアなど)で話されるスワヒリ語を学ぶこととなりました。元々アフリカに興味があったわけではなかったのですが、アフリカ大陸の歴史や文化を深く知るにつれて、今までフランスに抱いてきた美しいイメージとはまた違った部分を見ることとなりました。そして、アフリカについて知るためにはフランスや他の欧米諸国のことを知らずして先には進まないと確信しました。

 
西アフリカの広い地域では公用語としてフランス語が定められており、数々の文学作品がフランス語で書かれています。しかも日本にとってアフリカはまだまだ遠い国であり、アフリカに関する研究は専らヨーロッパが進んでいて、歴史的事実にも一番近い存在なので文献なども豊富です。フランス語を学べば大学で勉強していることをより深められると思いました。

 

大学二年の時に念願だったフランス語の授業を履修し、あこがれのフランス語を勉強し始めました。しかしフランス語は私にとって今までに習った外国語(英語、スワヒリ語)よりはるかに難しいものに感じ、大学での授業はとても進度が早くついて行くのが精一杯で、落ち着いて勉強することができませんでした。これではフランス語を勉強していたとは言えないと感じ、実際にフランスに行ってネイティブスピーカーに囲まれて、自然な語学習得を目指したいと思いフランス長期留学を決めました。


私が留学先に選んだのはドイツと国境で接する街、ストラスブールです。この街はドイツの文化が色濃く残っている地域で他のフランスの都市とは一風変わった雰囲気の味わえる町だということを聞き、魅力を感じました。またアルフォンス・ドーデの「最後の授業」の舞台になった街でもあり、国同士の争いのせいで何の非もない国民が母語を奪われる不幸というものに深く心を動かされました。アフリカでも植民地支配などで同じような事例がいくつも見られ、何か通じるものがあると感じ、ストラスブールでフランス語のみならず、母語と外国語が自分にとって何であるかを再考することも外国語学部に入った者として必要な時間だと考えました。また、ドイツが近いということもあり、美味しい食べ物やビールが味わえるのがとても楽しみです。せっかくヨーロッパに10ヶ月もいるのだからフランス以外の国に行ってみたいし、様々な文化にも触れて帰りたいという思いがあり、それを満たしてくれるのはドイツやスイスなど近隣諸国へのアクセスもいいストラスブールがベストという結論に達しました。


フランス語の勉強はもちろん、フランスのアフリカとの関係にもとても興味があり、旧フランス領西アフリカのに関する文献などを図書館などで探すのも楽しみの一つです。留学後はフランスで得た経験をアフリカでも活かしてみたいため一ヶ月程モロッコ、セネガル、ガンビア、などのフランス語圏のアフリカの国を訪れようと思っています。


将来は日本と世界を繋げる仕事に就きたくて、具体的には貿易でモノを世界中で動かす商社か、日本が誇る高い技術でインフラのまだ整っていない地域にモノと人の流れができるようにインフラを輸出する仕事に就きたいなという希望があります。タンザニア、ケニアに訪れた時にインフラの未熟さが経済発展の妨げの一員になっていることを強く感じ、発展途上国のインフラを整えることで、それが少しでも改善されるのではないかと考え、長年高いインフラ技術を維持してきた日本だからこそできることだと思います。


いずれにせよ、世界のいろいろな国の現状を肌で感じることが私にとっては重要な経験です。その一環として今回のフランス留学を人とは違う味のある経験にしたいと思っています。