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第11期奨学生の留学体験レポート

 

~1週間の留学終えて~ 大高千佳様

 

 

9月27日から10月2日までの一週間、パリ、アンスティテュ・パリジャンでの体験をまとめたいと思います。
パリには以前にも旅行で訪れたことがありました。その際は、あくまでも旅行者として滞在したのですが、今回はホームステイをさせていただき、実際の生活に近い体験ができたように思います。


今回の滞在でまず感じたものは、パリにおける個人主義というものです。特にそれを感じたのは、地下鉄ですが、乗り換え案内などの車内放送は全くなく、ドアも自分で開くタイプであったりと、サービス大国日本との違いに最初は戸惑うと思います。他にもバス、商店などあらゆるところで、個人個人がしっかりとしなくてはいけない、という雰囲気がありました。しかし、治安が特別悪いようにも感じられませんでしたし、地下鉄などでは現地の方が話しかけてきてくれたり、という機会もあり、感じのよい街です。


滞在中は、オペラ座近くにあるアンスティテュ・パリジャンという学校で語学研修に参加しました。最寄り駅のOperaという駅の構内から出ると目の前にオペラ・ガルニエが聳え、また、街角にはカフェや商店が建ち並び、活気のある地区にありました。学校では、初めて足を踏み入れた時に、受付の方がとても明るく挨拶をしてくださり、少なからず抱いていた緊張がほぐれ、とてもほっとして安心したのを覚えています。クラスは少人数でしたが、様々なバックグラウンドを持つクラスメイトとフランス語で話すことはとても新鮮でした。大学のクラスでは、概ね似たようなバックグラウンド・目標をもつ友人たちばかりですが、アンスティテュ・パリジャンでは、ファッションを学んでいる学生、IT企業に勤める女性、EU政府で働く予定の大学生、キリスト教のシスターになるために勉強している修道生など、本当に多様な人々と言葉や意見を交わすことができました。このことはフランス語語を習得するという目標とは別に、私自身にとってとてもよい刺激となりました。授業では、絵や新聞記事から読み取れることや、それについて自分が考えることをフランス語で話す練習が多かったように思います。クラスメイトがすらすらとフランス語話す中、私は最初、単語しか出てこなかったり、ついつい英語はでてしまったりしたのですが、2、3日目からは文章は話せるようになり、自分でも驚いてしまいました。また、自分のフランス語の間違いを、その都度先生が訂正してくださいました。「この言い方の方が良い」、「この言い方の方がよく使う」など、指摘されたものはすぐに吸収しよう、という気になりました。


ステイ先では、家族の方にとてもやさしくして頂きました。ゆっくりとした丁寧なフランス語を話してくださった上に、また一方では、プライバシーも尊重してくださいました。夕食のときは、今日したことについて話したりしました。美術館に行ったことを話したときには、日本とフランスの美術について話しましたし、日本の大学の様子についてもとても興味を示され、説明したりしましたが、こういったコミュニケーションは、ホームステイをすることの楽しさの一つだと感じました。とは言っても、将来の夢、読んだ本について考えたこと、などといった複雑だったり抽象的なことについては、フランス語力が全然足りていない、と思わせられる場面もたくさんありました。私はそういったことも含めて、もっともっとフランス語を身につけたい、と意識するようになりました。


一週間という短い滞在の中でも、学んだことはたくさんあります。その中でも一番心に残ったことは、外国語を習得するためには、まず話さなければいけない、ということです。フランス語しかない環境に身を置いた今回、どうにかして伝えなければならない、どうにかして人が言っていることを把握しなければならない、といった意識が語学習得にとてもよく働いたと思っています。ステイ先の方に感謝を伝える際にも、また、連絡事項を伝える際にも、頼るものは自分のフランス語力だけ、という必死さこそが、この留学での実りの一因となっていると思います。恥ずかしいから、自信がないから、といって相手の話しを聞くばかりだったり、適当に受け流したいから、といって「Oui」を繰り替えすというのは、全く意味のないことだということが身を以て実感できました。

 


フランス語会話力に関してまだまだだと思うことばかりだったので、パリ滞在中に私は、日本に帰ってもリスニング・スピーキング力の向上を目指そうと決めていました。
今後も、フランス語を使う機会を自分自身で作っていったり、テレビ放送を聞いたりと、もう一度フランスに行けるように、今度は日本でできる勉強を頑張ろうと思います。大学二年生の後半が始まったばかりですが、大学に入ってからであったこのフランス語という言語が、親しいものとして、より自由に使いこなせるようになりたいと思っています。


奨学生としてこの実り多い留学の機会を与えてくださり、渡航前・後ともに丁寧で、そしてさまざまな面においてサポートをしてくださった日仏文化協会の皆様、本当にありがとうございました。