トゥールでの1カ月

和田ゆりえ様(60代)

研修校:トゥールラング

レジデンシャルホテル滞在

 

フランス語の教師を長く続けて、この春早めの退職をしました。教師とは名ばかり、一度も留学経験がなかったので、読み書きはともかく、聞き取りと会話に全然自信がもてなくて、「人生に遅すぎる、はない、このさい語学留学だ!」と日仏文化協会にお世話になることにしました。パリや南仏は行ったことがあるので、場所はトゥールを選びました。トゥールには「トゥーレーヌ学院」という有名な語学学校があるのですが、あえて少人数の「トゥール・ラング」にしました。期間は4週間。お婆さんのドキドキの一人旅です。

5月末出発、とにかくコロナをはさんで全く海外旅行をしていなかったので、切符の買い方からスマホの使い方までまるで赤子同然、パリのシャルル・ドゴール空港とトゥールの駅に現地のスタッフに迎えに来ていただいたのは心強いかぎりでした。到着翌日の月曜日に学校へ、旧市街プリュムロー広場の一角にあるこじんまりした学校、ひとクラス8人まで、生徒さんはわたしのような退職組か、若い学生のどちらかですが、和気あいあいとした雰囲気です。一番上のクラスには、オーストラリア、ブラジル、アメリカなどから来られていましたが、彼らの多くはバカンスを利用しての短期利用者で、2週間勉強したのち、来年もまた来る、といったリピーターも多くて、このような利用法もあるのだなと感心しました。驚いたのは、日本人の、それも若い子がとても多かったことです。聞けば「トゥール・ラング」はパティシエの学校と提携しているとのことで、パティシエ志望の16,7の子もいました。ジェネレーション・ギャップ! 彼らにスマホのこと、電車の乗り方、その他トゥールでのイベントの情報などいろいろ教えてもらえました。

宿は駅近くの簡単なキッチンのついたホテルにしました。これは大正解で、滞在中10年ぶりの猛暑とかで40℃近くまで気温の上がる日があり、クーラーのない部屋に間借りしていた人たちは暑くて眠れない、とこぼしていました。なにせ夜10時くらいまで明るいので、なかなか気温が下がらないのです。食事は、外食は高くつくので、基本はお惣菜を買ってきて家で食べました。旧市街に毎日やっている屋根つきのマルシェがあり、そこのパテやチーズの美味しいこと。スーパーで買う安いパックのキャロットラペや魚のテリーヌなども激うま、さすがはガストロノミーの国です。夜は部屋についているテレビを点けっぱなしで、とにかくフランス語の洪水を浴びました。

わたしのコースは授業が午前中だけだったので、午後はひたすらロワール川沿いのお城巡りをしました。パッケージになった高価なツアーではなく、電車やバスを利用して、あるいは毎週金曜午後にある学校の遠足にも欠かさず参加して、滞在中の4週間に、有名どころのシュノンソー、ブロワ、シャンボールはじめ、12個のお城を制覇、これはけっこうな記録かも。あと、校長先生が車を出してくれて、一日がかりでモンサンミシェルとサンマロにも連れて行ってもらいました。

トゥールは心休まる古き良きフランスの町でした。後に続くみなさんにアドバイスできるとしたら、とにかく留学を決めたら、来る前に独学でいいのでできるかぎり文法を勉強してくることです。学校でフランス人の先生にフランス語で文法を教わるのは難しく、時間ももったいない。文法理解の裏付けがあれば、短い期間でも、伸びしろが違ってきます。