加茂 奈菜未様 モンペリエ・リヨン留学4

Q フランス語力に変化はありましたか。

留学を始めた頃に比べると、自分の伝えたいことを言葉のニュアンスも含めて伝えられるようになってきたと感じています。フランス語における私自身の一番の課題は「会話」だったのですが、9ヶ月間を通して現地の人が日常で使う表現が自然と耳に馴染むようになり、文法という枠組みよりも、言語の背景にある文化的な話法を学ぶことができました。最初は表現の違いに戸惑いも多かったですが、まずは聞き取ることに慣れ、徐々に自然に自分の言葉で返せるようになった感覚があります。相手に自分の意図や細かいニュアンスが伝わり、会話が成立する瞬間は、積み重ねてきた努力の成果を感じられてとても嬉しかったです。

Q どのような種類の業務で、どの程度の頻度でアルバイトをしましたか?仕事中、フランス語はつかいますか。

日本人経営のフレンチレストランにてホールスタッフとして勤務していました。主にコース料理の提供、テーブルセッティングなどを担当していました。勤務は週に平日3日間でした。スタッフ間での会話は全て日本語でしたが、接客時にはお客様への料理の説明やパンの提供、お手洗いの案内などでフランス語を使用しており、限られた場面ながらも実践的なフランス語に触れる貴重な機会となっていました。

Q 加茂様は2都市に留学されましたが、1都市留学と比べていかがでしたか。

良かった点、残念な点があればお教えください。
2都市に留学したことで、地域ごとの文化や人々の気質の違いを実際に肌で感じることができました。1都市目には南仏のモンペリエ、2都市目にはフランス第2の都市リヨンを選びましたが、交通機関の利便性や街の雰囲気、気候、人柄、建築様式に至るまで、同じ国内でも地域による違いの大きさにはとても驚きました。それぞれの都市で出会った友人たちは今でも大切な存在で、訪れる場所が増えたことも嬉しい点の一つです。一方で、引っ越しや手続き関係には苦労しました。モンペリエで揃えた生活用品をリヨンに移動させるのは大変でしたし、リヨンに着いてからも足りないものを揃える必要があって、落ち着くまでには少し時間がかかりました。また学校の再手続きも一から行わなければならなかったため、精神的にも体力的にも忙しかった印象があります。

Q 学校についての総評価

授業内容や教材は、各自のレベルに適したものが用意されており、無理なく学習に取り組むことができました。熱心に生徒の声を拾って対応してくれる先生も多く、安心して授業に励むことのできる環境でした。ただ、クラス内での国籍の偏りが目立つことがあり、特定の国籍同士で固まらないように先生が苦労している場面も多くありました。施設面では、大学内にカフェが併設されており、近隣には食堂やスーパー、パン屋なども充実していて生活面でも非常に便利でした。特に良かったのは、学期中にフランス人学生と留学生がペアを組む「binôme」という制度で、これを通じて自然な形でフランス人の友人ができたことは価値のある経験でした。

Q 宿舎についての総評価

メトロA線沿いに位置しており、周囲にスーパーも複数あって立地はとても良かったと思います。管理人の方も日曜を除いて基本的に常駐していたため、何か困ったことがあってもすぐに対応してもらえる安心感がありました。キッチンはフロア共用で、2日に一度清掃が入っていたものの、やはり住人よっては使い方が異なるので、汚れが気になることもありました。しかし、調理中に多国籍の方たちと交流が生まれる機会もあり、それは大きな魅力でもありました。シャワーが時々お湯にならないこともありましたが、それも「フランスらしい」と思えるようになったのも、ある意味良い経験だったと思います。

Q 留学全般についての感想、想い等

大学卒業後というタイミングでの留学だったため、「語学力を伸ばすだけでなく、何か将来に繋がる確かな収穫を得たい」という想いを常に持っていました。実際にモンペリエやリヨンで出会った人々の中には、自分の予想を超える生き方をしている方々が多くいて、自分の中にあった「こうでなければならない」という固定観念が少しずつ崩れていったのを感じます。年齢に縛られない柔軟な生き方や、自分の価値観に素直に従って生きている人たちとの出会いは、今後の人生にも大きな影響を与えてくれると思います。語学以外にも、自分の視野や考え方を広げてもらえたとても貴重な時間でした。

Q 特に思い出深い出来事

一人で訪れた南仏・グラースでの調香体験は、今でも特別な思い出として心に残っています。私がフランス語を学び始めたきっかけが香水だったのですが、その本場で実際に香りを作るという体験ができたことは、夢のような時間でした。偶然、アトリエで働いている日本人の調香師の方ともお話しさせていただき、とても刺激的で、これからの人生を考える上でも忘れられない時間となりました。

Q 今後の進路/これから留学する後輩へのアドバイス

今後は日本で就職し、社会人経験を積みながら、またいつかフランスに戻ることができるように、これからもフランス語の学習も継続していきたいと考えています。フランスでの生活は日本とはまったく異なるため、最初は戸惑うこともたくさんあると思いますが、その分得られる気づきや出会いも大きいです。その経験は何にも代えがたい財産になるはずなので、年齢やタイミングに縛られず、少しでも興味があるなら、ぜひ思い切って飛び込んでみてください。